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河野 康則; 仲野 友英; 諫山 明彦; 波多江 仰紀; 木島 滋; 大山 直幸; 近藤 貴; 玉井 広史; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; et al.
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 29C, 4 Pages, 2005/00
トカマクのディスラプション時に発生する逃走電子の緩和を目的として、不純物ペレット入射などの外部アクチュエータを用いた実験を実施した。その結果、不純物ペレット入射による逃走電子排出効果及び逃走電子電流減衰効果を見いだした。また、逃走電子電流の基本的な振る舞いが、逃走電子のアバランシェ過程による発生とシンクロトロン放射の効果を取り入れたAndersson-Helanderモデルに基づく減衰とのバランスで説明できる可能性を示した。他方、電流消滅時間が逃走電子により伸張されることに着目し、逃走電子を用いた電流消滅回避実験を実施した。実験では、発生した逃走電子により、電子温度が数10eV以下まで低下し、また不純物ペレットが入射された状態でも放電を維持できることが示された。このとき、プラズマ電流は指令値通りに継続及び停止を行うことが可能であった。逃走電子のダイナミクスを詳細に調べることを目的として、レーザ逆コンプトン散乱に基づく能動的,直接な診断法を新たに提案した。
Esirkepov, T. Z.; Bulanov, S. V.; 西原 功修*; 田島 俊樹
Physical Review Letters, 92(25), p.255001_1 - 255001_4, 2004/06
被引用回数:36 パーセンタイル:79.13(Physics, Multidisciplinary)低温の無衝突プラズマ中に存在する相対論的電磁サブサイクルソリトンからのコヒーレントシンクロトロン放射について解析する。3次元粒子シミュレーションにより、相対論的高強度短パルス円偏光レーザーの航跡に生じるソリトン空洞の壁面における電荷密度振動の結果、電磁波がらせん状に放射され、高周波の残光として数十ラングミュアー周期程度持続することを明らかにした。
佐藤 泰紀*; 山口 大地*; 大島 明博*; 加藤 孝則*; 池田 重利*; 青木 靖*; 田中 茂; 田畑 米穂*; 鷲尾 方一*
JAERI-Conf 2003-001, p.245 - 250, 2003/03
シンクロトロン放射(SR)を用いた直接的光エッチング法による架橋PTFEの加工を試み、高アスペクト比の微細加工が可能であることを示した。架橋PTFEのエッチング速度は、未架橋PTFEの場合の約2倍であることを見いだした。その理由として、架橋構造に由来する活発化した分子運動が原因でないかと思われる。SR照射後の材料表面をDSCとFT-IRで分析した結果、SR照射後の未架橋PTFEの表面部分(数10m)は変質し、SRにより架橋されていることが示唆された。
横谷 明徳
放射光, 10(4), p.392 - 412, 1997/09
生物学的研究の道具として、シンクロトロン放射は欠かせないものになりつつある。例えばタンパク質の立体構造を解くことでその機能を探ろうとする構造生物学は、その代表的な例である。しかし本稿ではこれらの研究とは異なる視点に立つもうひとつの生物研究として、環境からの影響による遺伝子(DNA)の分子変化とその修復機構の関連を調べるためのプローブとして単色軟X線を用いる、「生物分光研究」について紹介する。特に生きた細胞に対するリンK殻電離の作用の特異な生物応答と、その分子的メカニズムの解明をめざしたDNA分子単体への照射効果を中心に、これまでのシンクロトロン軟X線を用いた研究例を紹介し、これらの研究のSPring-8での発展する方向性を議論した。
前沢 博*; 古沢 佳也*; 小林 克己*; 檜枝 光太郎*; 鈴木 雅雄*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 母里 知之*
Acta Oncologica, 35(7), p.889 - 894, 1997/01
被引用回数:7 パーセンタイル:22.9(Oncology)シンクロトロン放射を単色光源として用い、大腸菌の野性株及び放射線感受性株に対して、リンK殻光吸収による致死効果を測定し、オージェ電子による増感作用を定量した。照射実験は、高エネルギー物理学研究所・フォトンファクトリーのBL-27で行った。リンK殻吸収端付近に現れるDNAの共鳴ピーク波長及びその前後のエネルギーを照射に用いた。いずれの株の場合も、リンの共鳴により致死効率の増感が観測された。それぞれの株の致死効率から、Auger電子あるいは光電子が、DNA周囲の水分子とイオン化しさらにこれら励起水分子がDNAを攻撃することが推測された。リンからのこれら2次電子効果を含めた最終的な標的サイズは、数nmと推定された。
檜枝 光太郎*; 広野 泰亮*; 浅見 彰*; 鈴木 雅雄*; 古澤 佳也*; 前澤 博*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 小林 克己*
International Journal of Radiation Biology, 70(4), p.437 - 445, 1996/10
被引用回数:48 パーセンタイル:95.41(Biology)単色化したシンクロトロン軟X線を用い、DNAの単鎖切断及び二重鎖切断の量子効率を調べた。試料には二鎖のプラスミド(pBR-322)環状DNAの乾燥試料を用いた。単色光源として、高エネルギー物理学研究所・フォトンファクトリーのBL-27を用いた。単鎖切断も二重鎖切断も、リンのK殻共鳴ピークで一番効率良く起こることがわかった。試料に対する吸収線量を、試料吸収スペクトルから計算し、フォトン吸収あたりの鎖切断効率を求めたところ、単鎖切断はエネルギー依存性がそれほど顕著でなかったのに対して、二重鎖切断はピーク波長で効良くおこることがわかった。細胞レベルでの致死・突然変異効率の増感は、この二重鎖切断によることが、これらの結果より推測された。
横谷 明徳
SR科学技術情報, 4(1), p.9 - 17, 1994/01
生体に対して、放射線が細胞致死あるいは突然変異といった特異な作用を持つことは、レントゲンがX線を発見して以来よく知られてきた。この作用の機序を明らかにする一つの方法として、シンクロトロン放射を単色化して得られるX線,軟X線による、特定元素の内殻光吸収を利用した初期過程の限定による解析がある。これまで、リン,ブロム,カルシウム等のK殻を共鳴的に励起した場合、致死,突然変異等の効率が顕著に増大するなどの、内殻励起に特異的な作用があることが、明らかにされてきた。本研究では、この作用の出発点となる分子変化を探るため、単純なモデル生体分子としてアミノ酸を選び、分子中のイオウをK殻共鳴励起した場合の分解生成物を調べた。その結果、イオウのK殻励起による高エネルギー状態は、分子中のイオウから離れたところにある結合には影響を与えないということが明らかにされた。
柴田 裕実*; 吉田 陽一*; 田川 精一*; 青木 康; 南波 秀樹
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 327, p.53 - 56, 1993/00
被引用回数:8 パーセンタイル:64.03(Instruments & Instrumentation)液体シンチレータ中でのLET効果を、ナノ秒のイオンビーム、ピコ秒の電子ビームならびにシンクロトロン放射光を用いて、パルス放射線分解の手法で研究した。トルエン中での10mMの2.5-d:phenyloxazole(PPO)、トルエン中での10mMのp-terphenylならびに純n-ドデカンからの発光スペクトルを観測した。イオンビーム照射においてこの発光の減衰は、高速ならびに低速の2つの成分が観測された。これらのシンチレータからの発光の寿命に対して、LET効果があることが見出された。
鈴木 康夫
プラズマ・核融合学会誌, 68(5), p.488 - 502, 1992/11
自由電子レーザーや放射光施設において、高輝度光の発生部として用いられるアンジュレーターについて、細いプラズマ柱の配列したものを用いる方式を考案したので報告する。2つの方式があり、一つは磁場型であり、これはプラズマ柱に流れる電流を用いてアンジュレータ力を作る。もう一つは、電場型で、プラズマ柱列によるプラズマ密度リップルと相対論的電子ビームとの相互作用でアンジュレーター力を作る方式である。本論文では、このプラズマ列の作り方、安定化法等について述べる。この方式は、ギャップ間隔を広くとれ、磁場や電場を強く作れるなど、非常に多くの利点をもつものである。
横谷 明徳; 宇佐美 徳子*; 小林 克己*
Photon Factory News, 10(1), p.13 - 14, 1992/05
軟X線領域には、生体構成元素の内殻吸収端に起因する生体分子の吸収スペクトルがある。吸収端前後の吸収断面積の差を利用して、生物細胞内部の特定元素を「狙い撃ち」することが可能であり、これにより放射線のエネルギーを吸収した分子の化学変化(損傷)に対する細胞の応答(修復)のメカニズムを調べることができる。実際に遺伝子、DNA、中のリン原子をK殻励起すると、致死効果や遺伝的変化の誘発が効率よく起こることが知られている。そこで、次の段階として、内殻電離、励起に伴うこのような効果の原因となる特異的な分子変化が果して起きているかどうかを、アミノ酸をモデル物質として調べた。含硫アミノ酸中のイオウをK殻励起し、分解生成物のスペクトルを測定した。励起光源としてシンクロトロン放射を用いた。その結果、イオウの励起の有無で生成物分布が大きく異なることが明らかになった。これは、内殻励起特異的な生体分子変化であると考えられる。
横谷 明徳; 小林 克己*; 宇佐美 徳子*; 山田 裕子*; 檜枝 光太郎*; 石坂 昭三*
真空紫外線(50nm以上)による核酸損傷誘発機構の総合的研究, p.56 - 59, 1992/03
本研究は、真空紫外線(VUV)領域でのアマノ酸の分解過程を調べることを目的とした。イオウを含むアミノ酸に、60nm(20.7eV)と120nm(10.3eV)の単色化したシンクロトロン放射を真空中で照射し、分解生成物をHPLCで分離・同定した。得られた結果は、2.5KeVの軟X線領域の結果と比較・検討された。真空紫外線照射により12種の生成物が観測され、その生成物分布は二つの波長で異なった。真空紫外領域では、フォトン吸収に続く主要なインベントが、励起から電離へ移行すると考えられる。生成物分布の波長依存性は、この移行を反映している可能性が高い、また2.5KeVの単食X線照射による生成物の分布は、60nmのそれとほぼ同じであったことから、60nmでは、アミノ酸の分解に寄与する主要なイベントが、電離である可能性が示された。
横谷 明徳
放射光, 5(1), p.83 - 84, 1992/02
特定元素の内殻励起による突然変異等の生物効果の機構を知るため、イオウを含むアミノ酸(シスタチオニン)とモデル分子として選び、イオウK殻励起による分子の分解の特性を調べた。励起光として、単色化したシンクロトロン放射を用い、分解生成物の分析は、高速液体クロマトグラフィーを用いた。この結果、イオウK殻を励起した場合としない場合とでは、分解パターンが異なることが明らかになった。生成物の収量から、励起原子と分子中の切断をうける結合の間に相関がある可能性が示された。これらのことから、内殻励起による生物効果の原因は、励起原子と切断される結合の強い相関による、生体分子の特異な変化であることが示された。
横谷 明徳; 小林 克己*; 宇佐美 徳子*
Photon Factory Activity Report, P. 299, 1992/00
乾燥状態(粉末)のイオウを含むアミノ酸に対する、単色シンクロトロン軟X線の照射効果がこれまで調べられてきた。その結果、イオウのK殻励起を起こした場合とそうでない場合とで、分解生成物のスペクトルが変わることが明らかになった。本研究では、より生体に近い条件下でも、このような変化が起きるかどうかを調べることを目的とし、まず水溶液試料中に生成する分解生成物を検出することを試みた。試いたアミノ酸はシスタチオニンで、分子中にひとつのイオウ原子を含む。照射に用いたエネルギーとして、イオウK殻共鳴吸収ピーク(2473eV)をシンクロトロン放射を分光して得た。生成物は高速液体クロマトグラフィーを用いて、分離定量した。その結果、固体試料の場合とは異なる生成物スペクトルが得られた。同定された生成物のうち、OH基を持つものがあったことから、水中に生じたラジカルとの反応があることが示唆された。
原田 俊治*; 横溝 英明; 柳田 謙一
JAERI-M 90-124, 54 Pages, 1990/08
物性、材料、医学、生物学の研究分野において、強力X線源を使った研究が進んでおり、高輝度光源の必要性が高まっている。原研では、この状況をうけて次世代高輝度光源となる大型放射光施設(SPring-8)の開発研究を行っている。その一環として小型電子ストレージリング(JSR)を試作し、加速器技術の基礎的研究及び挿入光源装置、モニタ、ビーム制御のR&Dを進めてきた。JSRは最大蓄積エネルギー300MeV、周長~20mのリングである。本報告では、JSRのラティス設計について述べる。
横溝 英明; 柳田 謙一; 原田 俊治*; 益子 勝夫; 横山 稔*; 橋本 宏*; 中山 光一*; 椛澤 光昭*; 原見 太幹; 鈴木 康夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 291(1-2), p.472 - 480, 1990/00
被引用回数:2 パーセンタイル:43.41(Instruments & Instrumentation)小型リングJSRが、15ケ月という短期間で完成した。磁石、真空、RFシステムとも、設計どおりの性能で製作された。偏向磁石の磁場精度B/B210の領域は45mmである。ベース真空度は、ポンプヘッドで310 Tourに達している。電子は150MeVでライナックから入射され、リングの中で安定に加速、蓄積された。蓄積された電子の寿命は30分であった。この寿命は、主に、真空ダクト内の残留ガスと電子の衝突によって説明される。初期運転で、JSRの加速、蓄積の基本性能がうまく機能することが確認できた。
神長 輝一; 嘉成 由紀子; 坂本 由佳; 成田 あゆみ; 宇佐美 徳子*; 小林 克己*; 野口 実穂; 横谷 明徳
no journal, ,
放射線の曝露を受けていない細胞(バイスタンダー細胞)が放射線の曝露を受けた細胞からのシグナルを受けることで何らかの影響が発現する現象はバイスタンダー効果と呼ばれ、特に非照射細胞が細胞集団中で多数を占める低線量放射線照射下における影響を考える上で重要なカギとなる。これまでにバイスタンダー細胞に、微小核形成やアポトーシスなどが現れることが知られている。本研究では、バイスタンダー効果が細胞周期に与える影響を明らかにすることを目的とした。コロニー内の任意の細胞に放射光X線マイクロビームを照射した後、全自動タイムラプスイメージングを行える実験系を確立し、細胞分裂を経た細胞にも細胞周期に変異があるかどうかを調べた。その結果、バイスタンダー細胞にも明らかに細胞分裂周期の変異が観測された。非照射細胞が照射細胞からの何らかのシグナルを受け取ることで、自らの細胞周期を制御するための反応経路があることが推定される。
横谷 明徳; 菅谷 雄基*; 岡 壽崇*; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎
no journal, ,
シンクロトロン放射を分光して得られる軟X線を利用し、特定元素の内殻イオン化とこれに続くAuger効果により誘発されるDNA損傷過程を、分光学的手法と生化学的手法を組み合わせることで調べている。これまでに、DNAの特定部位に存在する酸素のK殻イオン化に注目し、DNA損傷の前駆体と考えられる不対電子種とDNAの化学的な損傷を調べた。その結果、光電子放出が起こらない内殻励起状態(1価イオン)を誘起した場合には不対電子種の収率は増加するものの、損傷の誘発頻度は逆に下げることが明らかになった。このことから、不対電子を持つラジカル状態は必ずしも最終的な損傷とは相関せず、Auger効果による2価イオンの生成とこれに起因するクーロン爆発による化学結合の解離が、損傷の誘発には重要であることを示唆している。